はじめに:九州の雄大な自然と歴史を訪ねて
2022年4月、福岡の太宰府天満宮を訪れた後、私たちは九州の大自然と歴史的建造物を巡る旅に出ました。熊本城の威厳ある姿、宮崎県高千穂峡の神秘的な景観、阿蘇山の雄大なカルデラ、そして南阿蘇鉄道のトロッコ列車での爽快な旅。
この記事では、九州が誇る自然の絶景と歴史遺産を2泊3日で効率的に巡るモデルコースをご紹介します。春の新緑に包まれた九州の魅力を、たっぷりとお伝えします。
1日目:熊本城で歴史に触れる
熊本城とは:日本三名城の一つ
熊本城は、加藤清正によって1607年に築城された日本を代表する名城です。大阪城、名古屋城と並んで「日本三名城」の一つに数えられ、その堅固な防御設計と美しい外観で知られています。
特に「武者返し」と呼ばれる独特の反りを持つ石垣は、熊本城の最大の特徴です。下部は緩やかで上部に行くほど急勾配になるこの石垣は、敵の侵入を防ぐための工夫が凝らされており、加藤清正の築城技術の高さを物語っています。
2016年の熊本地震で甚大な被害を受けましたが、現在は復旧工事が進められており、訪問時には復興に向けた取り組みを目の当たりにすることができます。
熊本城の復興状況

熊本城に到着してまず目に入るのが、広大な堀と石垣です。写真に写る池のような堀は、かつて城を守る重要な防御施設でした。堀の向こうには高い石垣がそびえ、その上に城の建造物が見えます。
訪問時の2022年4月時点では、復旧工事が進行中で、遠くに青いシートで覆われた工事現場が見えます。地震から6年が経過していましたが、復旧には長い年月が必要であることを実感しました。しかし、この復興の過程を見ることができるのも、今この時期ならではの貴重な経験です。

石垣の上に建つ熊本城の姿は、復興工事中であっても圧倒的な存在感を放っています。写真では、城の周辺に整備された公園や駐車場が見え、多くの観光客が訪れていることが分かります。
熊本城は地震で天守閣や櫓、石垣など多くの建造物が損傷しましたが、天守閣は2021年に修復が完了し、内部見学も可能になりました。しかし、石垣や櫓の完全復旧には2052年までかかると言われており、長期的な復興プロジェクトが続いています。
天守閣への道

熊本城天守閣へは、長い橋を渡ってアプローチします。写真に写る橋は、堀を越えて城内へと続く重要な通路で、両側を緑豊かな木々が囲んでいます。新緑の季節、青空の下を歩くこの道は、まるで時代を遡っていくような感覚を覚えます。
橋の先には天守閣が見え、その威厳ある姿に期待が高まります。多くの観光客がこの橋を渡り、天守閣を目指していました。
別の角度から見ると、橋の先に堂々とそびえる熊本城天守閣の全貌が現れます。木々の緑と黒い天守閣のコントラストが美しく、春の熊本城の魅力を存分に感じることができます。
天守閣は三層六階地下一階の構造で、最上階からは熊本市内を一望できます。内部には熊本城の歴史や築城の様子、地震被害と復興の過程などが展示されており、見どころ満載です。
地震の爪痕と復興への道

天守閣の近くでは、今も石垣の補強工事が続けられています。写真では、崩れた石垣を保護するためのネットが張られ、復旧作業が行われている様子が分かります。天守閣の美しい姿の背後で、こうした地道な復興作業が続けられているのです。
熊本地震では、城内の石垣約8万個のうち約3割にあたる約2万3千個が崩落しました。石垣の復旧には、元の位置に元の石を戻す「現状復旧」が原則とされており、一つ一つの石を記録し、適切に配置する精密な作業が必要です。
この復興作業を間近で見られることは、熊本城の歴史の一部を目撃しているとも言え、特別な体験となります。
熊本城観光のポイント
所要時間: 天守閣と周辺の見学で約2〜3時間
入場料:
- 大人:800円
- 小中学生:300円
開館時間: 9:00〜17:00(最終入園16:30)
アクセス:
- 熊本市電「熊本城・市役所前」下車、徒歩約10分
- JR熊本駅から車で約15分
見どころ:
- 天守閣からの眺望
- 武者返しの石垣
- 復興作業の見学
- 本丸御殿(復元)
熊本城は、日本の歴史と現代の復興技術の両方を学べる貴重なスポットです。復興途中だからこそ見られる光景もあり、完全復旧後にまた訪れたいと思わせる魅力があります。
2日目午前:宮崎県・高千穂峡で神話の世界へ
高千穂峡とは:神話の里の絶景
熊本から車で約2時間、宮崎県の北西部に位置する高千穂峡は、日本神話ゆかりの地として知られる観光スポットです。阿蘇山の火山活動によって形成された峡谷で、五ヶ瀬川が侵食してできた深いV字谷が約7キロメートルにわたって続きています。
高千穂峡の最大の見どころは「真名井の滝」です。高さ約17メートルから流れ落ちる優美な滝は、日本の滝百選にも選ばれており、峡谷の神秘的な雰囲気をより一層引き立てています。
高千穂峡の絶景

高千穂峡に到着すると、まず目に飛び込んでくるのが真名井の滝です。深い峡谷の中、岩壁から一筋の白い滝が流れ落ちる様子は圧巻です。エメラルドグリーンの澄んだ水をたたえた川面に、滝の水が落ちる音が静かに響き渡ります。
写真では滝の全景が捉えられていますが、実際にはこの峡谷全体が深い緑に包まれており、マイナスイオンをたっぷり浴びることができる癒しのスポットです。
遊歩道からの眺め

高千穂峡には、峡谷に沿って整備された遊歩道があり、様々な角度から絶景を楽しむことができます。写真に写る橋は、峡谷を横断する遊歩道の一部で、この橋から見下ろす景色も絶景です。
橋の下には、貸しボートでゆっくりと進む観光客の姿が見えます。ボートから見上げる真名井の滝は、また違った迫力があり、人気のアクティビティとなっています。
峡谷を挟む両側の岩壁は、火山岩が冷えて固まった柱状節理という独特の地形で、自然が作り出した芸術作品のようです。新緑の季節には、岩肌を覆う緑が一層鮮やかで、目にも心にも優しい景色が広がります。

峡谷の上流方向を見ると、深く切れ込んだ谷の全貌が現れます。写真では、左右を高い岩壁に挟まれた川が奥へと続いている様子が分かります。両岸には豊かな緑が茂り、まさに秘境といった雰囲気です。
峡谷の岩壁は最も深いところで高さ約100メートルにもなり、その迫力は圧倒的です。川面に映る岩壁の影と、透き通ったエメラルドグリーンの水のコントラストが美しく、何時間でも眺めていたくなる景色です。
高千穂峡での楽しみ方
貸しボート:
- 料金:30分 4,100円(3名まで乗船可能)
- 営業時間:8:30〜17:00(季節により変動)
- 注意:人気が高く、休日は長時間待つこともあります。早朝の訪問がおすすめ。
遊歩道散策:
- 所要時間:往復約1時間
- 真名井の滝展望台、おのころ池、仙人の屏風岩など見どころ多数
- 遊歩道は整備されているため、歩きやすい服装で
アクセス:
- 熊本市内から車で約2時間
- 高千穂バスセンターから車で約5分、徒歩約20分
おすすめの訪問時期:
- 春:新緑が美しい
- 夏:避暑地として涼しい
- 秋:紅葉が峡谷を彩る
- 冬:凛とした静けさが魅力
高千穂峡は、神話と自然が融合した神秘的なスポットです。時間があれば、近くの高千穂神社や天岩戸神社など、神話ゆかりの地も合わせて訪れることをおすすめします。
2日目午後:南阿蘇鉄道トロッコ列車で風を感じる
南阿蘇鉄道とは
高千穂峡を後にして、次に向かったのは熊本県の南阿蘇鉄道です。南阿蘇鉄道は、熊本県の立野駅から高森駅までの17.7キロメートルを結ぶローカル鉄道で、雄大な阿蘇の景色を楽しめることで人気があります。
特に春から秋にかけて運行されるトロッコ列車は、窓のないオープンエアの車両で、阿蘇の風を直接感じながら旅ができる特別な体験です。
トロッコ列車の旅

南阿蘇鉄道のトロッコ列車に乗るため、高千穂駅を訪れました。写真に写る駅のホームは、ローカル鉄道らしいこじんまりとした雰囲気で、駅員さんが丁寧に案内をしてくれます。
駅の看板には「たかちほ」と書かれており、のどかな田舎の風景が広がっています。背景には阿蘇の山々が見え、これから向かう旅への期待が高まります。

トロッコ列車に乗り込み、出発です。窓のない開放的な車両から見える景色は、普通の列車では味わえない臨場感があります。写真では、緑豊かな田園風景の中を進む列車の様子が捉えられています。
遠くには阿蘇の山々が連なり、手前には田んぼや民家が点在する、のどかな日本の原風景が広がります。春の心地よい風を感じながら、ゆっくりと進む列車の旅は、都会の喧騒を忘れさせてくれます。
トンネルの中の演出

南阿蘇鉄道の旅で印象的だったのが、トンネルです。写真に写るトンネルの入口は、蔦や植物に覆われており、まるでジブリ映画に出てきそうな幻想的な雰囲気を醸し出しています。
自然に還っていくような、どこか懐かしさを感じる風景が、トロッコ列車の旅をより特別なものにしてくれます。

さらに驚いたのが、トンネル内の演出です。写真のように、トンネルの天井には色とりどりのLEDライトが設置されており、列車が通過する際に幻想的な光のショーが楽しめます。
赤い円や様々な色の光が洞窟のような空間を彩り、まるで別世界に迷い込んだかのような感覚になります。子どもから大人まで楽しめる、南阿蘇鉄道ならではのおもてなしです。
南阿蘇鉄道トロッコ列車情報
運行期間: 主に3月〜11月(冬季は運休)
料金:
- 全線(立野〜高森):大人 1,500円、小児 750円
- トロッコ整理券:500円(座席指定)
運行本数: 1日4〜6本程度(季節により変動)
予約: トロッコ列車は人気が高いため、事前予約推奨
注意点:
- 天候により運休する場合あり
- 屋根がないため、日焼け対策や雨具の準備を
- 春秋は肌寒いこともあるため、上着の持参推奨
見どころ:
- 阿蘇五岳の眺望
- 田園風景
- トンネル内のイルミネーション
- 各駅での地元の方々との触れ合い
南阿蘇鉄道のトロッコ列車は、ただの移動手段ではなく、それ自体が目的地となるような素晴らしい体験でした。ゆっくりとした時間の流れの中で、阿蘇の自然を五感で感じることができます。
3日目:阿蘇山・草千里ヶ浜で大自然を満喫
阿蘇山とは:世界最大級のカルデラ
旅の最終日は、九州を代表する活火山・阿蘇山へ向かいました。阿蘇山は、世界でも有数の大きさを誇るカルデラ(巨大な窪地)を持つ火山で、南北25キロメートル、東西18キロメートル、周囲128キロメートルという壮大なスケールを誇ります。
阿蘇五岳(根子岳、高岳、中岳、烏帽子岳、杵島岳)と呼ばれる山々が連なり、その中でも中岳は現在も活発な火山活動を続けています。このダイナミックな自然景観と、カルデラ内で営まれる人々の暮らしが、阿蘇の大きな魅力です。
草千里ヶ浜の絶景

阿蘇山の中腹、標高約1,140メートルに位置する草千里ヶ浜は、直径約1キロメートルの草原が広がる絶景スポットです。写真には、広大な草原にのんびりと寝そべったり立ったりしている馬たちの姿が捉えられています。
遠くには阿蘇の山々が連なり、その雄大さに圧倒されます。空は曇り空ですが、それが逆に阿蘇の大地の広さを強調し、どこまでも続く草原の美しさを引き立てています。
馬たちは観光客を乗せる乗馬体験用で、この牧歌的な風景の中で乗馬を楽しむことができます。馬に乗りながら草千里を一周すれば、まるで北海道やモンゴルにいるかのような開放感を味わえます。

草千里ヶ浜には、中央に大きな池があります。この池は火口跡に水が溜まってできたもので、雨が多い時期には水を湛え、乾季には干上がることもあります。
写真では、広大な草原と奥に連なる阿蘇の山々、そして空に浮かぶ雲の美しい景色が捉えられています。草原には多くの観光客が訪れ、それぞれに写真撮影や散策を楽しんでいます。
この開放的な景色は、日常の喧騒を忘れさせてくれる癒しの空間です。深呼吸をすれば、澄んだ空気と草の香りが心と体をリフレッシュさせてくれます。

草千里ヶ浜の奥には、活発に活動を続ける阿蘇山の姿が見えます。写真には、山頂から白い噴煙が立ち上っている様子が捉えられています。この噴煙こそが、阿蘇山が生きている証です。
手前の草原でくつろぐ人々と、背後でダイナミックに噴煙を上げる火山のコントラストが、阿蘇の魅力を象徴しています。美しさと力強さ、静けさとダイナミズムが共存する、まさに阿蘇ならではの景色です。
阿蘇ミルク牧場で動物とふれあい

阿蘇観光の最後に訪れたのが、阿蘇ミルク牧場です。ここでは、阿蘇の大自然の中で育てられた乳牛や、様々な動物たちとふれあうことができます。
写真に写る牛は、のんびりと干し草を食べている様子で、その穏やかな表情に癒されます。牧場では搾乳体験やバター作り体験など、様々な酪農体験ができ、子どもから大人まで楽しめます。

牧場には、牛だけでなくヤギもたくさん飼育されています。写真では、白いヤギたちが仲良く寄り添って休んでいる微笑ましい姿が捉えられています。
ヤギたちは人懐っこく、餌やり体験では積極的に近づいてきます。動物たちとのふれあいは、特に子ども連れの家族に人気で、命の温もりを感じられる貴重な体験です。
阿蘇観光のポイント
草千里ヶ浜:
- 入場料:無料
- 駐車場:普通車 500円
- 乗馬体験:1周 約2,500円〜(時間により異なる)
- 所要時間:散策で30分〜1時間
阿蘇山火口:
- 火山活動の状況により入山規制あり
- 必ず事前に火山情報をチェック
- ロープウェイ料金:往復 大人 1,200円、小児 600円
阿蘇ミルク牧場:
- 入場料:大人 500円、子ども 300円
- 営業時間:10:00〜17:00
- 体験メニュー:搾乳、バター作り、アイスクリーム作りなど
アクセス:
- 熊本市内から車で約1時間30分
- 阿蘇くまもと空港から車で約45分
- 阿蘇駅からバスで約30分
おすすめの服装:
- 標高が高く風が強いため、防寒着必須
- 歩きやすい靴
- 日差しが強いため、帽子やサングラス
阿蘇山は、日本でも類を見ない雄大な自然景観を楽しめるスポットです。活火山ならではのダイナミズムと、そこで営まれる人々の暮らし、そして動物たちとのふれあいが、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。
おすすめモデルコース
2泊3日プラン
1日目:
- 午前:福岡空港到着、レンタカーで熊本へ移動(約2時間)
- 午後:熊本城観光(2〜3時間)
- 夕方:熊本市内のホテルにチェックイン
- 夜:熊本グルメ(馬刺し、熊本ラーメンなど)を堪能
2日目:
- 午前:熊本から高千穂峡へ移動(約2時間)、高千穂峡観光(2〜3時間)
- 午後:南阿蘇鉄道トロッコ列車体験(約1時間)
- 夕方:阿蘇周辺の温泉宿にチェックイン
- 夜:阿蘇の温泉と郷土料理を楽しむ
3日目:
- 午前:草千里ヶ浜、阿蘇山観光(2〜3時間)
- 午後:阿蘇ミルク牧場で動物ふれあい体験(1〜2時間)
- 夕方:熊本空港へ移動、帰路へ
交通手段
レンタカー: 最も効率的で自由度が高い移動手段です。福岡空港や熊本空港でレンタカーを借りることができます。
公共交通機関:
- 熊本城:熊本市電、バスが便利
- 高千穂峡:高千穂バスセンターからタクシーまたは徒歩
- 阿蘇山:JR阿蘇駅からバス
ツアー: 運転が不安な方は、福岡や熊本発の日帰りツアーもあります。
宿泊のおすすめ
熊本市内:
- 熊本城周辺:観光に便利
- 繁華街(通町筋):グルメや買い物に便利
阿蘇周辺:
- 黒川温泉:情緒ある温泉街
- 内牧温泉:阿蘇山に近く、観光拠点に最適
- 南阿蘇:のどかな田園風景の中でリラックス
持ち物チェックリスト
- 歩きやすい靴(スニーカー推奨)
- 防寒着(阿蘇は標高が高く寒い)
- 日焼け止め、帽子
- カメラ(絶景スポット多数)
- 雨具(天候が変わりやすい)
- 飲み物、軽食
九州グルメを楽しむ
熊本グルメ
馬刺し: 熊本を代表する郷土料理。新鮮な馬肉を薄く切り、醤油とおろしニンニク、おろし生姜で食べます。赤身だけでなく、霜降りやタテガミなど、部位によって異なる味わいが楽しめます。
熊本ラーメン: 豚骨ベースの濃厚なスープに、焦がしニンニク油(マー油)が特徴。博多ラーメンよりも濃厚で、中太のストレート麺との相性が抜群です。
いきなり団子: さつまいもと餡を小麦粉の生地で包んで蒸した郷土菓子。素朴な甘さが魅力で、お土産にも最適です。
辛子蓮根: 蓮根の穴に辛子味噌を詰めて揚げた熊本の伝統料理。ピリッとした辛さとホクホクの蓮根の食感が癖になります。
阿蘇グルメ
あか牛: 阿蘇の大草原で育てられた赤牛は、適度な霜降りと赤身のうまみが特徴。ステーキや焼肉で楽しめます。

高菜めし: 阿蘇高菜を使った炒飯。シャキシャキとした食感と独特の風味が食欲をそそります。
だご汁: 小麦粉を練って作った団子が入った味噌汁。熊本の家庭料理で、野菜たっぷりで体が温まります。
まとめ:九州の魅力を凝縮した旅
熊本城の歴史と復興の物語、高千穂峡の神秘的な自然美、南阿蘇鉄道のノスタルジックな旅、そして阿蘇山の雄大な景観。2022年4月の九州旅行は、日本の歴史、文化、自然の素晴らしさを再認識する機会となりました。
熊本地震からの復興途中である熊本城は、日本人の粘り強さと伝統を守る心を教えてくれました。
